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角速度

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
角速度
angular velocity
量記号 ω
次元 T−1
種類 擬ベクトル
SI単位 ラジアン毎秒 (rad/s)
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角速度(かくそくど、(英: angular velocity)は運動平面(英語版)上で基準点から見た角度の時間変化率に相当する物理量である[1]。3次元空間では運動平面に対する右ねじの方向を向いて大きさが時間変化率となるベクトル量であり、角速度ベクトル(英: angular velocity vector)とも呼ばれる[2][3]。

概要

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速度は運動学で用いられる物理量である。並進運動や回転運動でおきる角度変化の率を表現する。言い換えれば角速度とは、原点と物体を結ぶ線分、すなわち動径が向く角度の時間変化量である。特に等速円運動する物体の角速度は、物体の速度を円の半径で割ったものとして与えられる[4]。従って角速度の量の次元[注 1]は、通常の並進運動の速度とは異なり[注 2]、時間の逆数 T−1 となる。

角速度の単位は角度の単位と時間の単位の比によって表わされる。例えば国際単位系においては、角度の単位はラジアン (rad)、時間の単位は秒 (s) であるため、角速度の単位はラジアン毎秒 (rad/s) となる。角速度を表す記号としてはしばしばギリシア文字の ω や Ω が用いられる[5]。

角速度が関係する物理現象としては例えば遠心力やコリオリ力がある。剛体は相対座標の取り方によらない角速度を持つ。

角速度は、ある座標系における動径の角度の時間微分であるが、角速度の時間微分は角加速度と呼ばれる。また角速度の時間積分はある時刻間における回転角を与える。

定義

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角速度の定義図

時刻を 、点 の基準点 [注 3]を始点とした位置を 、速度を とする。ノルム とクロス積 を用いて、 の まわりの角速度 は次で定義される[3]:

平面でのスカラーによる定義と区別する意味で角速度ベクトルとも呼ばれる[2][3]。

平面でのスカラーによる定義

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時刻を 、点 の基準点 [注 3]を始点とした位置の極座標表現での角度を とする。平面での の まわりの角速度 は、

で定義される[1]。この定義は空間での定義を特殊化したものである(下記証明を参照)[6]。

導出

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時刻 t と t′ における質点の位置ベクトルをそれぞれ r、r′ とする。これらのなす角度を φ とすれば

である。ここで である。時間の間隔 Δt = t' − t が小さいときに

であることから、ベクトル積に関する恒等式 r × r ≡ 0を用いれば

が得られ、上式両辺における Δt の1次の項を比較して

が導かれる。回転角 φ = ωΔt の向きを回転軸の方向(すなわち右ねじの進む方向)に一致するように定めると[7]、定義式が導かれる。

性質

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向きと大きさ

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角速度は物体が回転運動する平面に対して時計回りか反時計回りかいずれか一つの方向を正とし、他方を負とするように定義される。また符号の正負は、幾何学的には角速度の向きに対応づけることができる。標準的に用いられる右手系の座標系では、角速度の符号は反時計回りを正として定義され、角速度の向きは右手の法則に従い、回転面が反時計回りに見える方向を向くように定められる。

角速度はしばしばスカラーやベクトルとして扱われるが、鏡映反転により向きが変ってしまう[注 4]などの性質から、厳密にいえば擬スカラーや擬ベクトルとして扱われる。2次元空間上では回転平面の軸は一つに限られるため、角速度は擬スカラーとなり、3次元空間においては回転平面の軸は自由な方向を向くことができるため、角速度は擬ベクトルとなる[注 5]。

また、角速度の絶対値(またはノルム)をしばしば角速度の大きさと呼ぶが、文脈によっては、角速度の大きさを含めて単に「角速度」と呼ぶことがある。

大きさが円周方向の速さと距離の商

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角速度の大きさは円周方向の速さを基準点からの距離で割った商に等しい。

位置方向の単位ベクトルを とし、速度を に分解する。ベクトルは単位ベクトルとのクロス積の大きさが垂直成分になるため、角速度の大きさは次のように変形できる:

このとき は円周方向の速さであり は基準点からの距離であるから、上記の性質が成り立つ。後述する位置とのクロス積が円周方向の速度という性質はこの性質の裏返しである。

位置とのクロス積が円周方向の速度

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角速度と位置のクロス積は円周方向の速度に等しい。

速度 を位置 に対する動径方向 と円周方向 に分解する。動径方向の単位ベクトルを とすると、単位ベクトルとのベクトル三重積が垂直成分の取り出しであるから、角速度と位置のクロス積は次のように変形できる:

すなわち、角速度と位置のクロス積は円周方向の速度に等しい。またこの特性より、速度と角速度の間には次の関係が成立する:

この速度との関係はベクトル三重積のドット積表現と から直接的にも示せる。

脚注

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注釈

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  1. ↑ 物理学などの文献においては、文脈上紛れがない限り、単に「次元」と呼ばれる。
  2. ↑ 速度の次元は長さ L に時間 T の逆数を掛けた L⋅T−1 である。
  3. 1 2 しばしば原点が選ばれるが、これに限定されない。
  4. ↑ z軸周りの回転運動を表わす角速度はz軸成分しかもたないため、真にベクトルであるならばx-z面を鏡映面とする鏡映反転により不変に保たれるはずであるが、鏡映反転により回転運動の方向は反転されるため、z軸成分の符号が反転する。
  5. ↑ より高次元の空間を含む n 次元空間に対して統一的に使える方法としては、自由度 1/2n(n − 1) の二階反対称テンソルとして表わす方法がある。

出典

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  1. 1 2 平面運動の極座標表示 ... 極座標で ... 位置は で与えられ ... を原点に関する質点の角速度という.(小出 1997, pp. 31–32)
  2. 1 2 3 次元的な角速度ベクトルの向き(回転軸の向き)... なお,角速度ベクトルと回転軸の向きとの関係は右ねじの法則に則っておりpp.591-592 より引用。永見, 智行 (2016). “野球投手が投じる様々な球種の運動学的特徴”. 体育学研究. 61 (2): 589–605.
  3. 1 2 3 Angular velocity vector This is a vector that is perpendicular to the plane of the particle’s motion, and points in the direction of the axis of rotation.(Young 2026)
  4. ↑ 江沢 2005, p. 42, §6 曲線運動.
  5. ↑ 例えば ω について 江沢 2005, p. 42、新井 2003, p. 167 など。Ω について 江沢 2005, p. 254、ランダウ & リフシッツ 1974, p. 121 など。後者は特に運動座標系に対する一般の角速度に対して用いられている。
  6. ↑ 極座標で表す ... 位置 ... を で微分して ... この速度ベクトル ... を,動径方向 ... とそれに垂直 ... な方向の成分に分ける ... が得られる.(小出 1997, p. 32)
  7. ↑ ランダウ & リフシッツ 1974, p. 21, §9 角運動量.

参考文献

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関連項目

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物理学
ウィキポータル 物理学
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カテゴリ 物理学