太平洋奇跡の作戦 キスカ
| 太平洋奇跡の作戦 キスカ | |
|---|---|
| 監督 | 丸山誠治 |
| 脚本 | 須崎勝彌 |
| 製作 |
|
| 出演者 | |
| 音楽 | 團伊玖磨 |
| 撮影 |
|
| 編集 | 藤井良平 |
| 製作会社 | 東宝 |
| 配給 | 東宝 |
| 公開 |
|
| 上映時間 | 104分[注釈 2] |
| 製作国 |
|
| 言語 | 日本語 |
『太平洋奇跡の作戦 キスカ』(たいへいようきせきのさくせん キスカ)は、1965年(昭和40年)7月4日に公開された日本の映画[出典 2][注釈 1]。製作[出典 3]・配給[出典 4]は東宝[12]。
モノクロ、東宝スコープ[出典 5](ワイド[1])。上映時間は104分[出典 6][注釈 2]。同時上映は『喜劇 駅前金融』。
太平洋戦争中、日本海軍によって行われたキスカ島撤退作戦を題材にした戦争映画[出典 7]。出演俳優は東宝男優総出演の趣であり、豪華な顔ぶれとなっている。史実を下地にしたストーリーであるため、他の作品に見られるヒロイン役の女優は登場しない。戦争映画としては珍しく、悲劇的な結末ではないのも特徴である[14]。合成技術の都合から、モノクロで制作された[8]。
あらすじ
[編集]昭和18年(1943年)、アリューシャン列島のアッツ島守備隊が玉砕した[2][14]。同列島のキスカ島守備隊も、連日に渡って米海軍の砲爆撃による猛攻を受け、間近と予想される敵軍上陸による玉砕日を待つという悲壮な状況となった[2][14]。海軍軍令部は、北方担当の第五艦隊司令長官川島中将の説得により、キスカ島守備隊5千名の救出を決意する[14]。川島は、作戦実行部隊である第一水雷戦隊司令官に海兵同期の大村少将を指名した[2][14]。キスカ島守備隊の運命は、海軍兵学校を「ドンケツ」で出たという[注釈 3]出世コースを外れた現場叩き上げの司令官、大村少将の手腕に託されることになる。
大村の艦隊は、連絡係の国友大佐を乗せた潜水艦をキスカ島へ送り、霧に紛れての作戦を立てて、濃霧の発生を待つ[16]。
出演者
[編集]- 山下平八郎水兵長[18]:広瀬正一
- イ号七潜水艦先任将校[17]:桐野洋雄
- 阿武隈ガンルーム士官B[18]:伊吹徹
- 第五艦隊通信参謀[7][注釈 4]:向井淳一郎
- 五艦隊機関参謀[19][1][注釈 5]:大友伸
- 宮本水警隊長[18]:岡豊
- 若月電探士[18]:荒木保夫
- 阿部上水[18]:阿知波信介
- 島風艦長[7]:金沢重勝
- 第五艦隊機関参謀[7]:坪野鎌之
- 阿武隈ガンルーム士官A[18]:小川治彦
- 防空隊長[18]:長谷川弘
- 秋雲艦長[7]:手塚勝巳
- 阿武隈ガンルーム士官C[18]:山田彰
- 主計長[18]:堤康久
- 第五艦隊通信参謀[出典 8]:草川直也
- 一水戦参謀2[19]:岡部正
- 通信士[19]:大前亘
- 兵士[21]:中島春雄[注釈 6]
スタッフ
[編集]製作
[編集]史実の『キスカ島撤退作戦』を映画化した作品であるが、史実の木村昌福少将を大村少将に、第五艦隊司令長官・河瀬四郎中将を川島中将に名前を変更したり、作戦に参加した艦艇が異なるなど、史実と大きく異なる表現や描写が見られるため、「事実を元にしたフィクション映画」の色彩が強い映画である[注釈 8]。
劇中で阿武隈に大村が赴任して髭の水兵が迎える場面では、その水兵が木村昌福に酷似しており、大村に「仇名は?」と聞かれて「司令官であります」と答えるシーンが存在する。キスカ島生存者を招いた試写会では、この場面で喝采が起きた。[要出典]
実際にキスカ島に勤務して撤退作戦に関わった近藤敏直が、全面的にアドバイスしている。劇中では寺井参謀の役職であった。近藤敏直の証言は、DVDに収録されたインタビューで聞くことができる。
天野少佐の潜水艦が空襲されるカットは、1959年(昭和34年)制作の『潜水艦イ-57降伏せず』の流用である。このため、キスカ島撤退作戦時には参加していなかった英軍機が登場している。
キスカ島のシーンは富士山麓で撮影され、富士山新二合目付近に監視所や司令部などのセットが作られた。キスカ湾海岸のシーンは本栖湖で撮影されている[21]。艦上および艦内のシーンは海上自衛隊の護衛艦あきづき型(初代)、くす型(PF)、潜水艦「くろしお」で行われている(艦内のシーンに関してはセットも併用)。
濃霧の中をキスカ島を周回して艦隊が進むシーンについては、円谷英二率いる特撮班がオープン撮影では風で霧をコントロールできないため、屋内のステージセットで約2か月に渡って撮影した[出典 9]。艦隊が岩の間をすり抜けるカットは、特撮プールの底にレールを敷き、艦艇のミニチュアにその上を走らせることによって実現させた[出典 10]。セット内での撮影のためにミニチュアはあまり大きくできず、水流をポンプで送ることによって波や航跡の比率を調整している[出典 11]。霧がない入出港シーンでは、屋外の大プールを用いている[23][3]。
本編班と特撮班の合同によるシーンも多く、爆撃により楼上の監視兵が戦死するシーンでは本編での俳優の演技とミニチュアによる爆発を繋いで表現している[22]。また飛行機を狙う高射砲のシーンでは、実物の高射砲の前に模型の飛行機を飛ばして撮影している[22]。
映像ソフト
[編集]この節の加筆が望まれています。 |
サウンドトラック
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]- 1 2 資料によっては、「6月19日」と記述している[出典 1]。
- 1 2 書籍『東宝特撮映画全史』では、「105分」と記述している[6]。
- ↑ 劇中の大村の弁による。モデルの木村昌福は、海軍兵学校を118人中107位という下位成績で卒業している。なお、「ドンケツ」は「最下位」を意味する[15]。
- ↑ 書籍『東宝特撮映画全史』では、一水戦参謀と記述している[19]。
- ↑ 東宝公式サイトでは、軍令部B参謀と記述している[7]。
- ↑ 中島は、カメラから遠い場所にいたので映っていても見えないだろうと述懐している[21]。
- ↑ 「文藝春秋」1957年11月号(文藝春秋新社)掲載、のち『呪われた阿波丸 海戦秘話』(千早正隆、文藝春秋新社、1961年)に収録。
- ↑ 特技撮影の有川貞昌は、「戦争の勝敗より人命を第一としたヒューマンドラマ」と評している[22]。
出典
[編集]- 1 2 3 4 5 6 7 大特撮 1985, p. 330, 「戦後日本特撮映画作品リスト」
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
- 日本特撮・幻想映画全集 1997, p. 163, 「1960年代」
- 日本特撮・幻想映画全集 2005, p. 171, 「1960年代」
- 1 2 3 4 5 6 7 円谷英二特撮世界 2001, pp. 106–107, 「太平洋奇跡の作戦 キスカ」
- 1 2 中島春雄 2010, p. 356, 「作品紹介および解説」
- 1 2 東宝ゴジラ会 2010, p. 297, 「円谷組作品紹介」
- 1 2 3 4 東宝特撮映画全史 1983, p. 547, 「東宝特撮映画作品リスト」
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 “太平洋奇跡の作戦 キスカ”. 映画資料室. 東宝. 2026年2月1日閲覧。
- 1 2 3 ゴジラ大全集 1994, pp. 64–65, 「東宝特撮映画史 ゴジラ誕生 怪獣新シリーズの展開」
- 1 2 3 4 日本特撮映画図鑑 1999, p. 95, 「太平洋奇跡の作戦 キスカ」
- 1 2 3
- キャラクター大全 2014, p. 119, 「東宝特撮映画リストACT.3」
- 特撮全史 1950-60年代 2017, p. 134, 「1950's-1960's 日本空想、特撮映画総覧 東宝」
- 1 2 3 超常識 2016, p. 196, 「Column 東宝特撮戦記映画の代表作」
- ↑ kinenote.
- ↑ 特撮全史 1950-60年代 2017, p. 133, 「1950's-1960's 日本空想、特撮映画総覧 東宝」
- 1 2 3 4 5
- キャラクター大全 2014, p. 113, 「1965-1978 怪獣ブームからスペクタクルそしてSF」
- 特撮全史 1950-60年代 2017, p. 133, 「1950's-1960's 日本空想、特撮映画総覧 東宝」
- ↑ 「どんけつ」『デジタル大辞泉』。コトバンクより2022年4月23日閲覧。
- ↑ キャラクター大全 2014, p. 113, 「1965-1978 怪獣ブームからスペクタクルそしてSF」
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19
- “太平洋奇跡の作戦 キスカ”. 映画資料室. 東宝. 2026年2月1日閲覧。
- 東宝特撮映画全史 1983, pp. 536–537, 「主要特撮作品配役リスト」
- 大特撮 1985, p. 330, 「戦後日本特撮映画作品リスト」
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
- “太平洋奇跡の作戦 キスカ”. 映画資料室. 東宝. 2026年2月1日閲覧。
- 東宝特撮映画全史 1983, pp. 536–537, 「主要特撮作品配役リスト」
- 1 2 3 4 5 東宝特撮映画全史 1983, pp. 536–537, 「主要特撮作品配役リスト」
- ↑ 「脇役俳優辞典17」『別冊映画秘宝 モスラ映画大全』洋泉社〈洋泉社MOOK〉、2011年8月11日、51頁。ISBN 978-4-86248-761-2。
- 1 2 3 中島春雄 2010, p. 318, 「第六章 一九五〇 - 一九七二 大部屋俳優として 邦画斜陽の時代へ」
- 1 2 3 4 有川貞昌 2018, pp. 198–202, 「半世紀前の反省記 第二章『白夫人の妖恋』」
- 1 2 3 4 東宝特撮映画全史 1983, pp. 290–291, 「東宝特撮映画作品史 太平洋奇跡の作戦 キスカ」
- 1 2 日本特撮映画図鑑 1999, p. 144, 「東宝特撮作品 ビデオLDラインナップ 戦争映画」
出典(リンク)
[編集]参考文献
[編集]- 『東宝特撮映画全史』監修 田中友幸、東宝出版事業室、1983年12月10日。ISBN 4-924609-00-5。
- コロッサス 編『大特撮 日本特撮映画史』監修 本多猪四郎(改訂初版)、朝日ソノラマ、1985年1月31日(原著1979年1月31日)。ISBN 4-257-03188-3。
- 『誕生40周年記念 ゴジラ大全集』構成・執筆:岩畠寿明(エープロダクション)、赤井政尚、講談社〈テレビマガジン特別編集〉、1994年9月1日。ISBN 4-06-178417-X。
- 『日本特撮・幻想映画全集』勁文社、1997年6月5日。ISBN 4-7669-2706-0。
- 『日本特撮・幻想映画全集』朝日ソノラマ、2005年12月30日。ISBN 4-257-03720-2。
- 『東宝編 日本特撮映画図鑑 BEST54』特別監修 川北紘一、成美堂出版〈SEIBIDO MOOK〉、1999年2月20日。ISBN 4-415-09405-8。
- 『円谷英二特撮世界』勁文社、2001年8月10日。ISBN 4-7669-3848-8。
- 中島春雄『怪獣人生 元祖ゴジラ俳優・中島春雄』洋泉社、2010年7月31日。ISBN 978-4-86248-589-2。
- 東宝ゴジラ会『特撮 円谷組 ゴジラと東宝特撮にかけた青春』洋泉社、2010年10月9日。ISBN 978-4-86248-622-6。
- キャラクター大全(講談社)
- 講談社 編『ゴジラ 東宝特撮映画全史』2014年7月15日。ISBN 978-4-06-219004-6。
- 講談社 編『特撮全史 1950-60年代ヒーロー大全』2017年11月29日。ISBN 978-4-06-220358-6。
- 『ゴジラの超常識』[協力]東宝、双葉社、2016年7月24日(原著2014年7月6日)。ISBN 978-4-575-31156-3。
- 有川貞昌 著、田端恵 編『有川貞昌 ゴジラの息子と円谷英二』洋泉社〈映画秘宝COLLECTION〉、2018年8月17日。ISBN 978-4-8003-1534-2。